うつ病
うつ病とは精神疾患のひとつで100万人以上の患者がいます。
気分の落ち込み、憂うつな気分が続く精神状態の悪化や、食欲不振、不眠、倦怠感などの身体症状として現れます。
気分が落ち込むことは生活をしていれば誰にでもあることですが、2週間以上続き日常生活に支障をきたすようならうつ病を疑う必要があります。
うつ病の類型と特徴
1.大うつ病性障害(単極性うつ病)
一般的にうつ病といわれるもの。長期間憂うつな状態、無気力な状態が続きます
2.双極性障害(躁うつ病)
うつ状態と躁状態(気分が高まり活動的もしくは攻撃的になる)が交代で現れる。
3.季節性うつ(夏季うつ/冬季うつ)
1年のうち決まった時期だけやる気の低下、精神的な不安定が続く症状。
4.非定型うつ(新型うつ)
仕事のある平日だけ辛くなるといったように特定の日だけ症状が出る。「甘え」と勘違いされていることがある。
うつ病の症状
うつ病の精神症状
- 気分が落ち込む
- やる気が出ない
- 関心がなくなる
- 食欲が出ない
- 不安になる
- 死にたくなる
- 悲観的になる
- 家事、趣味ができなくなる
うつ病の身体症状
- 頭痛
- 肩こり
- 動悸、息苦しい
- 腹痛
- 下痢
- めまい
- 性欲減退
- 疲労感、倦怠感
- 不眠
うつ病の判断基準
うつ病の判断基準であるDSM-5で1と2のどちらかを満たし、5つ以上の症状が2週間続く場合うつ病と診断されます。
- ほぼ毎日、一日中何をやっても楽しさを感じない
- ほぼ毎日、一日中憂うつな気持ちになる
- ひどく食欲がないか、逆に食欲がありすぎる
- ひどく眠れないか、逆に眠りすぎてしまう
- イライラが強いまたは動きが減ってしまう
- ひどく疲れやすい
- 自分はどうしようもない人間だ…など自分を責める
- 集中力が落ちて考えが進まない
- 何度も自殺を考える
うつ病の原因
身体的、遺伝的要因
- 身体疾患:採血等の検査で診断します
- 感染症:採血等の検査で診断します
- 神経・脳疾患:MRIなどで診断します
- 主に加齢によるホルモンの変化
- 服用中の薬剤の影響
- 身体的ストレス、疲労
環境的要因
- 職場の人間関係
- 配置転換によるストレス
- 人事異動によるストレス
- 業務量増加によるストレス
- 家庭内でのトラブル
- 大事な人との離別、喪失の体験
うつ病の治療
休職、休学、十分な休養
うつ病にもっとも必要なのは十分な休養です。休職、休学で仕事などから離れることが効果的な治療となります。責任感の強い人ほどなかなか休みをとろうとしません。薬物で治療をしても十分な結果を得られません。
心理療法
うつ病の心理療法では、医師や臨床心理士との話し合いを通じて、これまでしんどさを引き起こしていた自分自身の考え方の癖や行動・人間関係のパターンを振り返り、それらを修正していくことで、よりスムーズな日常生活を送れるようにしていきます。認知行動療法があります。
薬物療法
現在、日本で広く用いられている代表的な抗うつ薬はSSRI、SNRI、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)の3種類で新規抗うつ薬と呼ばれ、古くからうつ病治療に用いられてきた三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬よりも副作用が少ないのが特徴です。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
脳の神経伝達物質の中でもセロトニンの再取り込みを阻害することで神経細胞と神経細胞の間のセロトニンの量を増やし、情報伝達を増強して抗うつ効果を発揮すると考えられています。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
NRIの作用機序としては、一度放出されたセロトニンとノルアドレナリンの細胞内への再取り込みを阻害することで脳内のセロトニンとノルアドレナリンの濃度を上昇させ、神経伝達をスムーズにし、抗うつ作用および抗不安作用を示すと考えられています。
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
NaSSAの作用機序としては、中枢神経のシナプス前α2-自己受容体とヘテロ受容体に対して阻害作用を示し、中枢神経のノルアドレナリンおよびセロトニン(5-HT)の神経伝達を増強します。また、セロトニン5-HT受容体のうち、5-HT2受容体と5-HT3受容体を阻害する作用があるため、抗うつ作用に関連する5-HT1受容体のみを選択的に活性化します。
三環系抗うつ薬
イミプラミンなどの三環系抗うつ薬は主としてノルアドレナリンやセロトニンあるいはドーパミンのトランスポーターに結合し,トランスポーター機能を阻害することで,モノアミンの細胞外レベルを増加させます。
四環系抗うつ薬
のうつ病・うつ状態に対する作用機序は、シナプス前のα2-アドレナリン受容体を遮断することによりシナプス間隙へのノルアドレナリン遊離を促進するとともに、脳内ノルアドレナリンの代謝回転を亢進させることにより中枢ノルアド レナリン作働性神経の活動度を増強することと考えられています。
抗うつ薬の主な副作用
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
吐き気、食欲不振、下痢
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
吐き気、尿が出にくい、頭痛
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
眠気、体重増加
三環系抗うつ薬
口が乾く、便秘、立ち眩み
四環系抗うつ薬
眠気、ふらつき
錦糸町メンタルクリニックのうつ病の治療
徹底した心身の休養に努め、薬物療法は補助的に使います。休職させてもらえるか不安もあるかと思いますが、休職手続きに関しては錦糸町メンタルクリニックの方針にお任せください。
うつ病回復の経過
休養に努めますと徐々に楽になり快方に向かいます。しかし復帰を早まると再発する場合があります。また休養中は嫌なこと、例えば職場のことなど考えたり芋いださないことが大切です。なるべく連絡回数も必要最小限にして減らす事が大切でしょう。
急性期
うつ病と診断を受けたら、まず十分に休養することが重要です。 1~3カ月ほどで軽快に向かうのが一般的ですが、半年以上かかる場合もあります。ステレスの原因から遠ざかることが大切です。
回復期
調子がよい日と悪い日が訪れ波があり一進一退を繰り返す時期です。 「もう治った」と自己判断をしたり、薬を止めてしまったりすると、症状が悪化してしまうこともあるため注意が必要です。少しずつ無理のない程度に散歩をしたり、好きなことをしてみたりと、活動量を無理のない範囲で増やしてみてもよい時期です。
維持期
症状がかなり安定して、心から職場に復帰したいと思えたら社会復帰までもうすぐです。復帰にあたり業務量や業務内容に考慮してもらえるよう働きかけることも効果があります。