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ぶどう膜炎

ぶどう膜というのは虹彩の組織で毛や他には毛様体、脈絡膜があります。これらの組織で生じた炎症疾患をぶどう膜炎といいます。ぶどう膜炎には幾つかの分類方法があり炎症部位により前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、汎ぶどう膜炎と分ける場合があれば、組織により虹彩炎、虹彩毛様体炎、脈絡膜炎、網脈絡膜炎と分ける場合もあります。病因により分けて感染など外因性の原因のぶどう膜炎を外因性ぶどう膜炎、それ以外の内因性の原因のぶどう膜炎を内因性ぶどう膜炎といいます。性質により分けて肉芽腫(マクロファージを中心とし他の炎症細胞も集積して掲載される境界があきらかな慢性炎症病巣)を原因とするぶどう膜炎を肉芽腫性ぶどう膜炎、それ以外を非肉芽腫性ぶどう膜炎といいます。

ぶどう膜炎の分類

Behcet病は20歳代から30歳代に多く、やや男性に多く重症例は男性に多い。サルコイドーシスは若年者と高齢者の2峰性に多く、50歳以上では女性に多い。Behcet病やサルコイドーシスは欧米より日本人に多い。HTLV-Ⅰ関連ぶどう膜炎はキャリアの多い四国、九州に多い。眼内悪性リンパ腫は高齢者に多い。ぶどう膜炎の中には全身疾患と関連ある疾患が多数あり、それらの既往を聞き出すことが参考になる。Behcet病では口腔内アフタ性潰瘍、結節性紅斑、毛嚢炎様皮疹、外陰部潰瘍、サルコイドーシスでは皮疹の有無、Vogt-小柳-原田病の後期では皮膚白斑、白髪、脱毛の有無を問診で、糖尿病の既往で糖尿病性虹彩炎が、急性前部ぶどう膜炎では腰痛(強直性脊椎炎)、炎症性腸疾患の下痢腹痛(潰瘍性大腸炎、クローン病)が参考になる。

ぶどう膜炎の症状

ぶどう膜炎では視力低下が生じます(前房や硝子体への細胞浸潤、角膜混濁、併発白内障(後嚢下白内障が多い)、嚢胞様黄斑浮腫)。Vogt-小柳-原田病では遠視化(漿液性網膜剥離により)もおこります。角膜後面沈着物(Keratic precipitate KP、大型で斑状のものはmutton-fat KP豚脂様KP)と呼ばれる色素がみられ消炎後も残る場合があります。前房炎症につづき毛様充血を生じ強膜炎、壊死性強膜炎が生じる場合があります。虹彩や毛様体に炎症を生じると前房内に血漿成分や炎症細胞が析出し繊維素析出や前房蓄膿を伴うことがあります。前房の隅の隅角に結節(隅角結節:サルコイドーシスなど肉芽腫性ぶどう膜炎でみられる)がみられます。Behcet病ではでは隅角や虹彩にルベオーシス(新生血管)が生じ失明につながる場合があります。眼底検査をするとサルコイドーシスなど肉芽腫性ぶどう膜炎ではsnowball雪玉状硝子体混濁やstring of pearls首飾り状硝子体混濁がみられ眼内悪性リンパ腫ではベール状硝子体混濁という所見がみられます。網膜血管炎で血管の白鞘化や周囲の網膜に出血や滲出斑を生じ特にサルコイドーシスでは網膜静脈炎や静脈周囲炎という分節状に白鞘化がつながっていきます。結核性ぶどう膜炎や眼トキソプラズマ症(ネコを終宿主とする原虫の感染症で経口摂取や生肉の食事で感染することがある)では動脈にも血管炎を生じます。ぶどう膜炎では嚢胞様黄斑浮腫が多くみられ視力低下します。光干渉断層系で程度を診断します。漿液性網膜剥離はVogt-小柳-原田病に特徴的(後期に脈絡膜の色素が脱色夕焼け状眼底を呈する)ですが漿液性網膜剥離はサルコイドーシスでみられる場合もあります。視神経乳頭の発赤・腫脹は多くのぶどう膜炎で見られBehcet病では脈絡膜委縮ろ視神経急騰委縮がみられます。サルコイドーシスでは視神経乳頭に灰白色の肉芽腫がみられることがあります。ぶどう膜炎では続発緑内障がみられることがあるので視神経乳頭陥凹の拡大に注意が必要です。

ぶどう膜炎の検査

ぶどう膜炎では白血球数(WBC)、CRP、赤沈ERSどが高値となりますが特異的なものではありません。血液検査でサルコイドーシスでは血清ACE上昇がみられます。Behcet病ではHLA-A51やHLA-A26との相関やVogt-小柳-原田病ではHLA-DR4との相関が明らかになってます。皮内反応もありBehcet病ではツベルクリン反応が陰性となります。Behcet病では針反応によってツベルクリン反応が強陽性となることがあります。胸部X線はサルコイドーシスの診断に役に立ち肺門部リンパ節腫脹(BHLといいます)がみられることが多い。Behcet病では神経Behceを発症することがあり発熱、頭痛、ふらつきなどがみられます。皮膚・口腔内所見としてはBehcet病では口腔内アフタ性潰瘍がほとんだの症例でみられ、皮膚症状として結節性紅斑、毛嚢炎様皮疹、血栓性静脈炎がみられ、サルコイドーシスでも結節性紅斑や斑状の皮疹がみられます。。ヘルペス性虹彩毛様体炎では眼瞼に発疹が伴うことがあります。

ぶどう膜炎の治療

ぶどう膜炎の治療は原因がわかる場合はその治療をしますがわからない場合も多くその場合は対処療法を行います。

ステロイド点眼

前眼部の炎症に対してステロイド点眼が有効で炎症の程度に合わせて増減して消炎をはかります

散瞳点眼

虹彩後癒着の予防のためトロピカミド・塩酸フェニレフリン点眼をします。解除のため頻回電願します

ステロイド局所注射

前眼部の強い炎症に対し デキサメサゾン結膜下注射
Behcet病などの後眼部の強い炎症に対し デキサメサゾン後部テノン嚢下注射
嚢胞様黄斑浮腫に対し トリアムシノロンアセトニド後部テノン嚢下注射
をします

ステロイド全身投与

ステロイドの局所投与で効果不十分な場合でも全身投与が有効な場合があります。しかし副作用には注意が必要です。Vogt-小柳-原田病ではステロイド大量療法やステロイドパルス療法を行いますが入院が必要となりますので紹介いたします。Behcet病ではではステロイド薬の全身投与は漸減中にかえって視力予後が良くないといわれが、発作時の単発的な使用や他の薬剤で効果不十分な場合は低用量を用いることはよいとされ使用する場合があります。

インフリキシマブ

Behcet病に対し腫瘍壊死因子であるインフリキシマブを大きな病院で他科と連携しながら行い高い有効性をしましてます。総合病院に紹介します

 

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