網膜中心静脈閉塞症・網膜静脈分岐閉塞症
網膜静脈閉塞症は中高年に多く見られる疾患ですが血管炎(視神経乳頭炎など)や悪性腫瘍(白血病)の関与により網膜中心静脈閉塞症が20歳代の若年者に生じることがあります。中高年では高血圧・動脈硬化を背景に静脈が閉塞する事が原因となることが多い。網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分岐閉塞症の違いは閉塞部位により網膜中心静脈閉塞症の方が重症で視力予後も悪い。
網膜中心静脈閉塞症CRVO
網膜中心静脈(視神経内)に血栓が形成され網膜の全ての静脈に拡張と蛇行を生じると共に血漿や血球が血管外に漏出する結果、網膜浮腫と網膜出血を生じます。急激に視力低下することが多い。将来の視力予後を左右するのは黄斑浮腫と新生血管です。血液の巡らない面積により、虚血型と非虚血型があり、非虚血型で網膜静脈(毛細血管床)の閉塞が広範囲だと虹彩にも新生血管を生じやすく(虹彩ルべオーシスと言います)そのまま放置すると新生血管緑内障から失明に至ります
網膜静脈分岐閉塞症BRVO
網膜静脈分岐閉塞症は網膜内の静脈分岐に血栓が生じたり、動脈硬化で硬くなった動脈との交差部で静脈が閉塞することにより静脈内圧が上昇しその上流の静脈枝や毛細血管の内圧が上昇して血管透過性が亢進し血漿や血球が血管外に漏出し網膜出血を生じます。出血や浮腫が黄斑部に及ぶと視力低下や変視をきたします。閉塞領域には新生血管が生じ硝子体出血がおこる場合があります。
網膜中心静脈閉塞症 網膜静脈分岐閉塞症の治療
抗VEGF注射や抗凝固療法
黄斑浮腫に対してトリアムシノロンのTenon囊下注射やアイリーア、ルセンティス、ケナコルトの硝子体注射をします。 バイアスイリンやワーファリンの内服といった血小板凝集抑制薬や抗凝固剤など抗凝固療法をする場合があります
レーザー光凝固治療
新生血管の予防のためや新生血管に直接光凝固をします
硝子体手術
硝子体出血、黄斑浮腫に対して硝子体手術、内境界膜剥離をします