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緑内障の治療

日本での失明原因の第一位です。日本で実施された住民対象に行われた緑内障の大規模疫学調査(多治見スタディ)があります。多治見スタディでは緑内障有病率が5.0%で、うち正常眼圧緑内障(NTG)が3.6%.原発性開放隅角緑内障(POAG)が0.3%.原発性閉塞隅角緑内障(PACG)が0.6%でした。諸外国に比べて圧倒的に正常眼圧緑内障の比率が高いことが日本人の緑内障の特徴です。

正常眼圧

1万人による測定結果から21mmHg を超えるものは2.5%に過ぎず、21mmHg以下を正常眼圧としています。多治見スタディの40歳以上の平均眼圧は右眼14.6mmHg.左眼14.5mmHgとされてます。

眼圧の重要性

正常値は10-21mmHgといわれています。しかし、適切な眼圧(視野が進行しない眼圧)は1人1人異なります。緑内障が疑わしい場合、数回の測定によって眼圧が普段どの程度なのかを知り(基準眼圧)、点眼薬を使ってどの程度値が変わったのか、その眼圧で視野欠損が進行していかないかどうかを確認していくことが大切です。

眼圧の日内変動

体内時計が交感神経をコントロールし交感神経が眼圧に影響与える目の中の水の産生(房水産生)をコントロールするので眼圧は一日中同じ眼圧値でなく変動します。1日を通し3~6mmHgは変動し緑内障患者では特に変動幅は大きいといわれます。緑内障患者では房水流出に機能障害があるため房水産生量の影響を受けやすいといえます。一般的な傾向はあるものの個々に変動パターンが異なります。

「視神経乳頭陥凹拡大」

眼科の健康診断で「視神経乳頭陥凹拡大」と言われましたら眼科での精密検査が必要です。「視神経乳頭陥凹拡大」というだけで緑内障と診断できるかどうかわからないからです。将来緑内障になるリスクがある場合には定期検査をしたり点眼で予防する場合もあります。

緑内障と紛らわしい疾患として、視神経の先天異常(視神経乳頭コボローマ、視神経乳頭低形成、SSOH、傾斜乳頭症候群、巨大乳頭、視神経乳頭小窩、朝顔症候群、視神経無形成)、強度近視、網膜循環障害、虚血性視神経症、頭蓋内疾患(下垂体腫瘍など)、Leber視神経症などがあります。中でも視神経低形成、SSOH、巨大乳頭、傾斜乳頭症候群、強度近視性乳頭は緑内障との鑑別に重要な疾患です。

緑内障性障害として特徴的に観察される所見として乳頭出血があります。緑内障病気の初期から中期に観察されることが多く、しばしば観察される場合、視野進行の割合が高いことから重要な意味があります。乳頭周囲の網脈絡膜萎縮(PPA)も早期変化として重要です。網膜神経線維層欠損も視神経乳頭陥凹拡大や視野欠損に先行して生じる場合も多く早期に生じる緑内障性眼底変化として重要です。

眼圧調節機構の異常(ステロイド緑内障など)

目の中の水(房水)が眼外に出て行く経路(繊維柱帯細胞の機能障害や細胞外マトリックスの沈着)に流出障害が起きている場合です。これによりステロイドの使用により白内障だけでなく緑内障も起こり得ます(ステロイド緑内障)。

開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障(緑内障の病型)

原発開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の2つに分けられ、原発開放隅角緑内障の中に正常眼圧緑内障と高眼圧症を含めると原発開放隅角緑内障は原因開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障と高眼圧症の3つに分けられます。高眼圧症とは眼圧、所見も開放隅角緑内障と同じでありながら視神経乳頭に緑内障変化を認めず視野異常も認めないものを言います

緑内障の進行

緑内障は非常に緩徐な進行性疾患ですが、緑内障による視神経障害は不可逆性であり、進行して失われた機能は元に戻りません。視神経乳頭陥凹の拡大(倒像鏡やスリットランプ細隙灯顕微鏡など眼科診察でわかる所見)や視野の進行で緑内障の進行を把握します。視野など機能異常とスリットランプなどの見た目の所見が同時並行で進行するとは限りません。視神経乳頭陥凹拡大などの見た目の変化が視野異常などの機能異常に先行する場合も多いので視野に異常がない場合でも定期検査をします。視野検査は自覚的検査であり測定ごとの変動が大きいので視野検査を病院に依頼する場合もあります。

緑内障患者さんが使用する時に注意が必要な薬

閉塞隅角緑内障の場合に、瞳孔を広げる抗コリン作用がある薬は注意が必要です。排尿障害で使う薬、鎮咳や気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、抗パーキンソン薬、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、総合感冒薬などです

緑内障の治療

トラべクロトミー(線維柱帯切開術)

房水の出口である線維柱帯を切開して、房水の流出抵抗を下げて眼圧を下げる方法です。特殊なレンズで切開部を観察しながら眼の中から切開する方法もあります。

トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)

眼外の結膜の下に房水が流れるような道筋を新たに作ってあげる方法です

インプラント手術

インプラントを用いてチューブのの中を通って房水が流れるようにしてあげる方法です

 

 

 

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