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糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症によって、毎年約2千人ほどが社会的に失明していると言われています。高血糖による代謝異常が長期間蓄積したことが原因で、網膜の血管障害や循環障害が引き起こされ、重症化すると網膜や硝子体い3次元的に多彩な病変を呈し、高度な視力障害を惹起したり失明ににつながります。ただし重症化する前に適切な治療を施せば進行を食い止め視機能を維持することが可能です。本邦には700万人以上の糖尿病患者がおり、糖尿病網膜症の有病率は約13%と推計されます。視覚障害による身体障害者認定を受けた人を対象にすると原因疾患の中で糖尿病網膜症は第2位で全体の20%を占めます。

糖尿病について

糖尿病の重要な合併症に腎合併症と眼合併症があります。糖尿病の合併症である糖尿病網膜症は緑内障とともに失明原因の上位を占め、糖尿病がある場合は眼科の定期検査で糖尿病網膜症が進んでいないかチェックすることが必須です

検査

散瞳剤を用いた眼底検査や、蛍光眼底造影検査、眼底カメラや光干渉断層計OCTを用います。

糖尿病網膜症の進行

糖尿病網膜症の眼底所見は大きく分けて3つの病期に分類されます。

1)単純網膜症 所見は多彩であり、毛細血管瘤、点状網膜出血、しみ状網膜出血、線状網膜出血、網膜浮腫、硬性白斑、時に少数の軟性白斑が認められます。自覚症状を伴うことはありません。

2)増殖前網膜症 網膜の細い血管に微小血栓形成が原因となり血管閉塞を生じた状態です。その局所の網膜は虚血に陥ります。特徴的な所見は、軟性白斑(綿花様白斑)、網膜内最小血管異常(IRMA)、静脈異常です。静脈異常は進行すると数珠上に拡張したりループ形成します。増殖前網膜症では自覚症状を伴うことは少ないです

3)増殖網膜症 末期の増殖網膜症に移行してしまうと、新生血管の出現によって硝子体出血、網膜前出血が生じてしまったり、出血が遷延化することで生じた線維血管性増殖組織が、網膜を牽引して牽引性網膜剥離に進行してしまったりと、急激な視力低下を引き起こします。そのため、末期の増殖網膜症に移行させないよう、いかに早期に糖尿病を、糖尿病網膜症を治療することが非常に大切なポイントになります。

治療

血糖値のコントロールや高血圧の治療が糖尿病網膜症の進行を防ぐ治療、網膜へのレーザー加療(光凝固療法)、抗VEGF療法(アイリーア、ルセンティスなどの硝子体注射)、硝子体手術などを病状に合わせて治療します

レーザー加療(光凝固療法)

糖尿病網膜症が進むと新生血管という正常ではない異常血管が生えてきます。放っておくと網膜出血、硝子体出血、網膜剥離、新生血管緑内障など合併症により失明をしてしまうのでその予防となる治療をします失明を防ぐため新生血管の退縮と抑制を目的とした治療です。

硝子体注射(抗VEGF療法)

レーザー治療と同じ網膜出血、硝子体出血、網膜剥離、新生血管緑内障など合併症により失明をしてしまうのを防ぐ目的でしますが、網膜の中心部にある黄斑という物を見るのに大事な組織に水が貯まり視力が落ちてしまった黄斑浮腫という病態を改善して視力を回復される目的で行います

硝子体手術

多量の硝子体出血でほとんど見えなくなり待っても自然吸収を期待できなくなったときや、増殖膜によって目の中で網膜が内側に牽引され網膜剥離が生じてしまったときには硝子体手術を行う必要があります。

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